スタートアップ等民間企業が陥る「自治体営業」の落とし穴
「画期的なサービスで社会を良くしたい」 熱意を持って自治体の門を叩いたスタートアップの多くが、最初の一歩で首を傾げます。「担当者は『良いですね』と言ってくれたのに、一向に話が進まない……」。
その理由は、製品の質にあるのではなく、行政と民間の「OSの違い」にあります。10年間、行政の内側からその仕組みを見てきた私が、彼らを動かす「3つの力学」を解き明かします。
「スペシャリスト」を求めない、ゼネラリスト集団の文化
民間企業、特にスタートアップは「特定の分野のプロ」を尊びますが、行政は真逆です。
- 「何でも屋」が評価される: 多くの職員は2〜3年で全く異なる部署へ異動します。法規、福祉、土木……あらゆる業務を「法律に基づいてそつなくこなす」ことが求められる世界です。
- 担当者は「意思決定者」ではない: 担当者がどれだけ製品を気に入っても、彼は数年後には別の部署にいます。そのため、「属人的な判断」を極端に嫌い、「前例があるか」「客観的な妥当性があるか」という守りの姿勢が基本になります。
「予算」という絶対的な壁と、複雑な決裁ルート
民間のスピード感で最も驚かれるのが、お金の扱いです。
- 予算がなければ、1円も動かせない: 行政には「予備費」がほとんどありません。どんなに素晴らしい提案でも、その年の予算に組み込まれていなければ、実現は「来年度以降」になります。
- ハンコの数=責任の分散: 一つの事業を進めるために、係長、課長、部長、そして時には副市長や市長まで。何層もの決裁ルートを通過する必要があります。この過程で「なぜ今、これが必要なのか?」という問いに100%の正解を出し続けなければなりません。
「行政計画」という名のロードマップ
行政は思いつきで動くことはありません。全ての事業は、数年単位で策定される「総合計画」や「実施計画」に基づいています。
- 計画にないことは「やらない理由」になる: どんなに社会貢献性が高くても、市の計画に紐付かない提案は、彼らにとって「やるべき根拠」がない仕事になってしまいます。
- 逆に言えば、計画に潜り込めば強い: ターゲットとする自治体が今、何を課題とし、どの計画に力を入れているか。ここを読み解くことが、営業のスタートラインです。
壁を壊すのではなく、ルールを味方につける
行政には行政の、民間には民間の正義があります。その文化の違いを無視して力説しても、扉は開きません。
「行政の言葉」で語り、彼らの「予算編成のバイオリズム」に合わせ、彼らの「計画」を助ける存在になること。
私はこれまで、行政の内部で数多くの予算編成と意思決定に携わってきました。その経験から言えるのは、「正しい手順を踏めば、行政は最強のパートナーになる」ということです。もし、あなたの素晴らしいソリューションが「行政の壁」に阻まれているなら、まずはそのOSの通訳から始めてみませんか?
「自治体」を、御社の成長を加速させる最高のパートナーに。
「良いサービスなのに、自治体の扉がなかなか開かない」 「行政の言葉やルールがわからず、提案の糸口が見えない」 「予算獲得に向けた、実効性の高い戦略を立てたい」
官民共創ラボでは、10年間の行政実務経験を持つコンサルタントが、スタートアップ企業の「BtoG(対自治体ビジネス)」を戦略と実行の両面からサポートします。
支援メニューの一例
- 行政適合性診断: 貴社ソリューションがどの計画・どの部署に刺さるかを分析
- 予算獲得・公募対策: 自治体予算の編成プロセスに合わせた提案シナリオの策定
- 官民連携プロデュース: 実証実験のコーディネートから協定締結までの伴走
- 職員向け提案書リライト: 行政特有のロジックに基づいた「通る」資料への変換
御社の技術や想いを、地域課題の解決に繋げるための「通訳」としてご活用ください。

